ホームの命

使い慣れた最寄り駅

改札の手前 遅延のお知らせ

運転再開見込みは一時間後

二つ隣の駅でまたひとつ

命が終わったらしい

 

名前も知らない駅での出来事じゃ

こんなにモヤモヤしないのに

今日はなぜだか分からないけれど

心がそわそわする 何だか落ち着かないな

 

誰かの苛立ちが聞こえる

誰かの不機嫌が聞こえる

私は黙り 黙って 黙って それを見ていたの

 

どこかの誰かの命が

線路の上で終わったんだよ

その二つ隣の駅で私は

ギターを背負って電車を待っている

 

今からうたいに行くんだって

ステージの上でうたうんだって

あぁ 何とも滑稽なものです

絶望の二つ隣には 希望が生きてた

 

駅員さんのアナウンスに

操られたように人が動く

人の波が引いた後の静けさは

もの哀しさと やるせなさを置き土産に

 

駅での茶飯事になんてならないで

よくあることになどならないで

だけど遠ければそれは他人事のくせに

紛争の地の子どもたちの痛みなど

誰が分かる

 

もうすぐ私は電車に乗る

改札を抜けてホームへ向かう

消えたものなど忘れたみたいに

電車は走る

 

死んじゃいけないって言葉より

「あなたが好きだ」「あなたが必要だ」

「あなたに死んで欲しくない」とそう言って

抱きしめてくれる人が一人居れば

 

終わらなくていい命がある

そのぬくもりで息を吹き返す

可哀想だとか 誰のせいだとか

そんなんじゃないんだ

 

そんなんじゃない

 

どこかの誰かの命が

線路の上で終わったんだよ

その二つ隣の駅で私は

ギターを背負って電車を待っている

 

今からうたいに行くんだって

ステージの上でうたうんだって

あぁ 何とも滑稽なものです

絶望の二つ隣には 希望が生きてた